ピルについてのQ&A
ピルって何?
一般的に「ピル」と呼ばれる薬は卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)という2種類の女性ホルモンを配合した薬剤です。含まれる卵胞ホルモンの量によって分類されます。
ピルって何種類ある?
- 超低用量ピル
- 低用量ピル
- 中用量ピル
- アフターピル
- ジェノゲスト
ピルの選び方は?
ホルモンの配合量によるピルの分類
ホルモンの配合量によって種類が分かれているピルですが、それぞれどんな特徴があり、目的に応じてピルの選択をします。
ピルはどういうしくみで避妊するのですか?
ピルの中には女性ホルモン(卵胞ホルモンと黄体ホルモン)が含まれています。
これらの女性ホルモンは排卵を抑制し、子宮内膜を変化させ受精卵が着床しにくい状態にします。そして同時に精子を子宮内に侵入しにくくさせて、避妊を可能にしているんです。
人工的に女性ホルモンを少量投与することで、妊娠に似た状態になるんですね。毎日服用することで 避妊効果を維持します。
ピルをずっと飲んでると排卵しなくなるってことはないのですか?
もともと女性の身体にあるものを、使っているので、ピルを飲むのをやめればほぼ100%近く排卵が再開します。
妊娠可能です。
しかもピルは2つの女性ホルモンを、身体のリズムに合わせてくれますから、ホルモンバランスの悪い人はいい状態を保てるようになります。
避妊にはピルが一番いいのでしょうか?
他にもいろいろありますけど・・・。
確実な避妊法はピルまたはミレーナとコンドームの併用しかありません。99%避妊できます。
スウェーデンでエイズのために国の避妊政策をコンドームに変えたら、中絶率が上昇してしまいました。
コンドームでは避妊は85~95%しかできません。 また、性感染症(STD)の予防にコンドームを併用してください。
『超低用量ピル』?
「超低用量ピル」とは、超低用量ピルは、「月経困難症」や「子宮内膜症」の治療目的で使用される「LEP」(Low dose Estrogen Progestinの略)に該当するお薬で、保険が適応されます。LEPは、日本において避妊を目的とした処方は行われていません。
『低用量ピル』?
『低用量ピル』が使われ出したのは約10年前からです。 それまでのピルは『中用量ピル』でした。 今、生理不順や避妊などのためにピルを使っている、また使ってみたいと思っている人達の、お母さん達が認識しているピルは、この『中用量ピル』のことだと思います。低用量ピルは、お薬に含まれる卵胞ホルモン(エストロゲン)が0.05mgより少ないものを指します。
主に避妊目的で使用されるピルで、「経口避妊薬」や「OC(Oral Contraceptivesの略)」とも呼ばれています。
1日1錠、決まった時間に正しく服用すれば99.7%という高い避妊効果が期待できます。
その他にも、生理周期の安定化や肌荒れの改善などの副効用があることが分かっています。
『中用量ピル』?
中用量ピルは、低用量ピルよりも卵胞ホルモン(エストロゲン)の量が多いお薬です。
「生理不順」や、生理の出血量が多い「過多月経」、「月経困難症」などの改善効果が期待でき、治療薬として使われています。
治療以外にも、イベントや旅行などに生理予定日が重なる場合に生理日を移動させるために使われます。
そのため、服用するのには最短期間で、しかも 医師の管理や検査が必要でした。 それでピルというと、副作用があると思う人が根強くおられるわけです。
『ジェノゲスト』とは?
婦人科でのホルモン剤というと、ピルを思い浮かべる方が多いと思います。
しかしピルには血栓症という命を落としてしまう副作用があることも事実で、ピルを内服できない方もいらっしゃいます。
そのような方にも使用可能な薬剤がジエノゲスト(商品名;ディナゲスト)です。
毎日1日2回の内服を、妊娠したいと思う時まで、または閉経になるまで、内服を継続します。
ジエノゲストには血栓症の副作用がないので、10歳代から50歳くらいまで(つまり初経から閉経まで)の多くの女性に適応があります。
新型コロナウイルスが世界中で蔓延して以来、血栓症に関してより配慮が必要な情勢も鑑み、当院ではピルと同等、むしろホルモン治療の『ファースト チョイス』としてジエノゲストを提案致します。
『緊急避妊薬』?
避妊に失敗した時や性被害にあった時は、女性が産婦人科・婦人科を受診し、72時間(3日)以内に緊急避妊薬(通称アフターピル、緊急避妊ピルともいいます)を服用することで、約84%の避妊効果が期待できます。
緊急避妊薬は、性交からできるだけ早く服用することが効果的で、服用すると5~7日排卵が抑制・遅延され、精子の寿命は3〜7日なので、排卵が抑制されている期間に精子が受精能力を失うことで妊娠を回避する仕組みです。
そのため、緊急避妊薬服用後には避妊効果が続きません。避妊の成功が確認できるまで、効果的な避妊法の使用もしくは性行為を避けることが勧められます。毎日飲み続けることで避妊効果が期待できる低用量ピルとは異なり、事後に服用することで効果を発揮するお薬ですので、飲み方や使い方を間違えないように注意しましょう。